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こいつは春から 縁起がいいわえ

国立劇場開場45周年記念企画「歌舞伎を彩る作者たち」第四弾として河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)の作品が上演されています。

通し狂言・・三人吉三巴白浪
1860年の江戸・市村座の発芝居で初演、黙阿弥が得意とした白浪物(盗賊の活躍を描いた物語)の代表作の一つ。和尚吉三・お嬢吉三・お坊吉三ー同じ吉三と名乗る3人の盗賊の因果は巡るお話ですが、特に有名なのが3人が出会う「大川端」、歌舞伎屈指の名場面で

月も朧に白魚の 篝(かがり)もかすむ 春の空
冷てえ風にほろ酔いの 心持ちよくうかうかと
浮かれ烏(からす)のただ一羽 ねぐらへ帰る川端で
竿の雫か濡れ手で粟 思いがけなく手にいる百両

(呼び声)おん厄払いましょう、厄おとし

ほんに今夜は節分か 西の海より川の中
落ちた夜鷹は厄落とし 豆だくさんに一文の
銭と違って金包み 
こいつは春から 縁起がいいわえ


このセリフは何度聞いても良いですね。

さよなら公演の時は菊五郎様が演じられましたが、流石に素晴らしいセリフ廻しで、歌舞伎もオペラと共通点があるものだと感じ入りましたが、今回は福助さんでした。
福助さんのお嬢は勿論初めて見たものですから、所作ばかりに集中してどっぷり浸たれる余裕がありませんでした。この音の心地よさと言う物を歌舞伎で初めて知ったのですが、これが伝統芸と言うものなのでしょうか・・・。当然若手の方が綺麗に決まっている。美しい絵姿はそれだけで素晴らしいのですが、この台詞回しにまで到達するのには、やはり時間がかかるのでしょうね。

まあ、この場面はこれからもお目にかかれるとして、それぞれの楽しみ方をすればいいのでしょうが、今回は黙阿弥の絶筆となった奴凧廓春風を曽我物語の世界と結びつけ、お正月らしい華やかな趣向で見せる三段返しの舞踊です。
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これはファンサービスとしてか、幸四郎さんのおじいさんに手を引かれ孫である金太郎ちゃんが国立初お目見えをして、当然お父さんの染五郎さんはおお張り切りで、三役を演じ、ワイヤーで吊られでジャニーズよろしく、空中で凧を演じる様は正に、体力勝負の世界。
奴の化粧から一転、暴れまわる猪を退治する猟人の白塗り顔にはビックリ。どうやってやったのだろう?

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これは見ごたえがあり、こいつは春から縁起がいいわえ~でしたね。(笑)
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by ma-kom | 2012-01-19 11:17 | 歌舞伎・観劇・美術館・映画 | Trackback | Comments(0)