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砂の器

先日、震災で一時中止になっていた砂の器が放映されました。
2回に分けての大作なので期待をしていましたが、やっぱり期待はずれ・・・・。

1974年に松竹で上映された映画はそれはそれは素晴らしく、芥川也寸志さん監督の音楽とともに私の中の日本映画5本の中に入ります。
特に、加藤 嘉さん演じる父親と少年の放浪の旅は日本の美しい四季とともに忘れられない素晴らしい映像です。この歩くだけの撮影だけで一年はかかったと言います。勿論原作とは若干違うのですが、音楽が、劇的高揚とカタルシスをもたらし、原作者の松本清張も「小説では絶対に表現できない」とこの構成を高く評価したそうです。


テレビではこう言った予算は組めないのでしょうね。そこが凄く重大なポイントになっているのに。

それともう一つ。今回はどういった設定になっているのか興味津々だった何故親子はあてのない放浪の旅に出なければならなかったのか?その理由です。
過去2回のテレビによると殺人犯やその汚名を着せられてとなっていましたが、納得が出来ません。

実際はハンセン氏病を物語の背景としたことでも知られ大きな話題を呼んだ作品だし、それ故安住の地が無い放浪の旅なのです。この差別意識が大きなテーマだと思うのですが・・・。


映画において、ハンセン氏病の元患者である本浦千代吉と息子の秀夫(和賀英良)が放浪するシーンや、ハンセン氏病の父親の存在を隠蔽するために殺人を犯すという場面について、全国ハンセン氏病患者協議会は、ハンセン氏病差別を助長する他、映画の上映によって“ハンセン氏病患者は現在でも放浪生活を送らざるをえない惨めな存在”と世間に誤解されるとの懸念から、映画の計画段階で製作中止を要請した。しかし最終的には製作者側との話し合いによって「ハンセン氏病は、医学の進歩により特効薬もあり、現在では完全に回復し、社会復帰が続いている。それを拒むものは、まだ根強く残っている非科学的な偏見と差別のみであり、本浦千代吉のような患者はもうどこにもいない」という字幕を映画のラストに流すことを条件に、上映が決まった。


前回のテレビ版は
ハンセン氏病を他のエピソードに変えること」が原作権を持つ松本家からの原作使用の条件であったことから、親子の放浪の理由が和賀英良(本浦秀夫)の父・本浦千代吉が、集落の中で唯一ダム工事の住民投票に賛成票を投じたといういわれなき理由で村八分にされた結果、妻が誰にも助けてもらえないまま病死するに至ったことに憤怒し、村中の家に放火、30人を殺害したため、という設定にされている。村中に放火するという設定は、原作者が津山事件について記したドキュメント「闇に駆ける猟銃」から引用されたものである。

今回も許可が出なかったのか・・・・・。

砂の器_b0078675_9181811.gif


結局、印象に残る所が一つもなく残念でした。
出来ればもう一度音響の良い映画館で当時の映画を見たいと思います。
加藤 嘉さんと少年のものを言わない放浪のシーンは親子の情愛や哀しみ、喜び等がその後ろ姿から伝わってくる正に名作なのです。
Commented by kyonchan54 at 2011-09-16 11:42 x
1974年の映画は私も見ました。映像も音楽も記憶に残っております。
このところ、映画もTVドラマもリメイクが多いように思います。
昔見た映像を超えるものが少ないのは残念です。
makoさんがおっしゃる様に加藤 嘉さんの演技、凄かったですね。

Commented by ma-kom at 2011-09-16 20:53
kyonchan54さん こんばんは♪

良かったですよね!

実は私・・・加藤 嘉さんが大好きなんですよ。(笑)

ご本人は慶応ボーイなので本当はモダンな方でした。
代々木上原に住んでいて、毎朝、奥様の中村雅子さん(元女優さん)と
喫茶店へ通っていましたよ。

それが哀れなおじいさんを演じると天下一品。
素敵な俳優さんでした。
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by ma-kom | 2011-09-16 09:46 | 歌舞伎・観劇・美術館・映画 | Trackback | Comments(2)